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また、特にこれは非常に喜ばしい動向だと思うが、もともと非常に異なる性格あるいは属性でもって発足したものが、それぞれの一番よい特徴を学び合い、組み合わせていくことによって、中心としてのオンブズマンの制度がそれを包含する形で非常に強固なものになってきたということである。例えば、オンブズマンの制度自体に様々な方法があると思う。例えば特別査問委員会といったものもあるし、トライビューナル(tribunal)と呼ばれる審問会形式のものもある。そしてまた、日本で非常に盛んになっている行政監察局という制度の在り方、そうした様々な資質あるいは特徴を私なりに検証し、それを学び、適用することによって、私が所属するオンブズマンの制度にも適用し、強化するということを行ってきた。

これは柔軟性を表す一つの例だと思う。すなわち、オンブズマンという制度は一つの重要な資質として柔軟性を持っていて、それがひいてはオンブズマンという制度そのものがさらに強化される土台にもなってきたわけである。

昨年アフリカで会議があって、私もそれに出席したが、そこで特に中心的であった議論は、それぞれの参加国家の立法府の特徴、また、そうした国々あるいは立法制度の在り方そのものが新しいオンブズマンのオフィスの制定を必要としているという状況であった。そうした国々の参加者が特に懸念を表明していたのは、オンブズマンのオフィスを制定した場合に、実際にどれくらいの独立性があるのかというのも一つの重要な要件であるが、それと同時に、その社会においてオンブズマンの独立性がどういうふうにどの程度まで考えられているのかということにも懸念があったわけである。このオンブズマンの制度にもいろいろな環境があるわけで、例えばその財務的なソースはどこから来ているのか、あるいはオンブズマンの任命(指名)に当たって政府がどの程度まで参加し、介入しているのか、又、その社会でもともとオンブズマンが発足するに当たってどういうふうなステータスであったのか、又、資源(resource)の問題等のいろいろな環境的な要因によって、この独立性が一体どの程度まで侵害されるのか、といったことの問題であった。

ただ、オーストラリアにおいては、政治的社会的に不安定要素というものは余りない状態の中で、オンブズマンが制度として発足したので、その当然の成り行きでもあったが、州レベルあるいは準州レベルあるいは連邦レベルにおいても、オンブズマンを制度的に規定しているということはない。それではオンブズマンという制度を憲法の中ではっきりと規定していく必要があるのかどうかということに対する回答であるが、それは、特定の具体的な国家の成り立ちの歴史あるいはその在り方を分析するということから自ずから出る答えではないかと思うし、また、憲法によってオンブズマンの制度が保障される必要があるというニーズを人々が考えているのかどうか、その社会の認識にもよると思っている。

 

それではまず、正義を求めてアクセスをとるわけであるが、そのことに具体的に話を進めたいと思う。

オーストラリアの前オンブズマン、ドクター・ヒックルは、オンブズマンへのアクセスの問題について言ったことがある。「オンブズマンのドアは、ホテルのヒルトンのドアと同じくらいに広くなくてはいけない。しかし、それが一体どこにあるのかを一般の

 

 

 

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